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ポストフィナステリド症候群は存在するのか、存在しないのか?

フィナステリドは前立腺肥大症・男性型脱毛症(AGA)の治療に使われる薬で、非常に多くの男性に飲まれている薬です。我々皮膚科では、AGAの治療薬として非常によく使われる薬です。
すでに1990年代前半よりアメリカをはじめ世界中で販売されている薬です。
これまで、全世界で膨大な使用実績があり、効果、副作用に関してのデータも多数存在します。
その中で、存在が囁かれているのがポストフィナステリド症候群です。ポストフィナステリド症候群というのは、フィナステリドを内服中にEDなどの男性機能障害を発症し、フィナステリドの内服を中止したあとも、男性機能障害が永続的に続く、という症候群です。

果たしてそのような症候群が存在するのか、しないのか、ということがそもそもの問題となっています。

前立腺肥大症・男性型脱毛症の治療を行う方というのは一般的に壮年期以降の男性に多く、フィナステリドを内服している場合も、していない場合も年々、一定の確率で男性機能障害を発症してきます。そのため男性機能障害が発症した場合、それがフィナステリドによる影響なのか、それとも自然にそうなったのか、というのは統計的によく観察する必要があります。
また、男性機能というのは精神的な影響も強いので、フィナステリドを飲んでいると、男性機能が低下するとの思い込みから思い込み効果により男性機能に影響を与える、という可能性も考えなければいけません。

◼️論文的考察
Tina KiguradzeらによるPersistent erectile dysfunction in men exposed to the 5α-reductase inhibitors, finasteride, or dutasteride(フィナステリド、デュタステリド内服による永続的なED)、PeerJ.2017 Mar 9;5によると長期間(208.5 日以上)フィナステリドを飲んだ人は、短期間の内服の人(59.8日以下)と比べて永続的なEDを生じる確率は4.8倍であると述べています。
これは研究をしている人なら原本を読まなくても少し恣意的ではないか、と疑問を感じる結論かと思います。
論文をよく読むと、そういうターゲットに対してそういった調査を行いそういった結論が導き出されたのか非常にわかりにくく、高度な解析手法を用いているのでしょうが、どうしても恣意的にそういう結論を導き出したように感じてしまいます。
いい論文というのはシンプルで研究デザイン、結論がすっきりしていることが多いのです。逆もまた真であります。

David HealyらによるEnduring sexual dysfunction after treatment with antidepressants, 5α-reductase inhibitors and isotretinoin: 300 cases(抗うつ薬、フィナステリド、デュタステリド、イソトレチノインによる永続的なED)を見ても、症例レポートの集積に過ぎず、本当にフィナステリドにより永続的なEDをきたすのか、ということははっきりしません。

逆に、フィナステリドを飲んでいようが飲んでいまいが、EDの発生率に有意差はない、という論文の方が圧倒的に多く存在し、クオリティーも高いものが多いです。

例えばJoseph M. UngerらによるJ Natl Cancer Inst. 2016 Dec; 108(12): djw168.Long-term Consequences of Finasteride vs Placebo in the Prostate Cancer Prevention Trial
によるとフィナステリドを5年のんで性機能障害を発症する確率はフィナステリド内服群で11.9%、プラセボ(偽薬)群で11.7%、10年間でフィナステリド内服群で22.6%、プラセボ(偽薬)群で22.3%と有意差はありません。
要するにフィナステリドを飲もうと飲むまいと、男は徐々にEDになっていく、というわけです。

◼️まとめ
現時点でポストフィナステリド症候群の存在を示す十分なエビデンスはない。おそらくポストフィナステリド症候群は存在しないものと思われる。

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