化膿性汗腺炎とは、あまり聞きなれない疾患かと思いますが、現在、米国などでは割と話題になっている疾患かと思います。
これまで「膿皮症」などと呼ばれていた疾患ですが、「膿皮症」という病名が曖昧すぎるため、化膿性汗腺炎という病名が出てきたものと思われます。
化膿性汗腺炎(膿皮症)というのは割とありふれた疾患で外来でも1日に数人拝見することもあります。粉瘤やケロイドと間違えられていることが多いです。皮膚が膿んで、皮下に空洞や瘻孔を作り、痛くてジュクジュクした膿瘍を作ります。
お尻や首の後ろ、脇などに発症することが多いです。
半年に一回くらいは暴れ出し、腫れて、ジュクジュクし、痛み出します。
治療に関しては、実は明確なエビデンス、ガイドラインというものはなく(!)、ある意味、オーダーメイドで治療していかなければいけません。日本ではビブラマイシンやミノマイシンの治療を行われていますが、もちろん不十分で、さらに強力な治療が必要になります。
海外では、ダラシンとリファンピシンの2剤で治療したりしますが、日本では保険は効きません。イソトレチノインや生物学的製剤も試みられていますが、同様に保険は利かず、厚労省の認可すら下りていません。
現状、日本では、現実的には手術療法しかありませんが、手術でも取り残すと再発してきますので、一筋縄ではいきません。かといって完全に取りきろうとすると、無理な手術になってしまう可能性もありますし、植皮をする場合は数週間の入院が必要となるでしょう。
瘻孔や空洞を完全にオープンにし、周囲に組織を可及的に取りきる、という姑息的な手術で高確率で再発を抑えられた、という論文もあり、そのあたりが我々、皮膚科医開業医ができる現実的なラインかな、と思います。
お困りの方は是非ご相談ください。
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