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肝斑に対する考察

 肝斑にお悩みの方は非常に多いと思われます。
 当院にもシミの治療を希望されて多くの方がいらっしゃいますが、肝斑を合併している率が非常に高くなっています。
 ご存知の方も多いと思いますが、肝斑にはレーザー治療は禁忌であり、かえってシミが増悪してしまいますので、慎重に診断を付けなければいけません。
 肝斑は女性ホルモンとの関係が指摘されていますが、そのほかに面白い説を提唱している先生がおられますのでご紹介したいと思います。葛西形成外科の葛西先生の「シミの治療」という本には、肝斑とは慢性的な摩擦、化粧品などによる刺激によるバリア破壊による炎症後色素沈着なのではないか?と提唱されております。
 この説は非常に鋭い説で、我々皮膚科医にとって、深く考えさせられるものです。
 葛西先生は、肝斑の治療中は、化粧品の使用をなるべく避け、皮膚を触る回数を減らすように指導されているそうです。
 肝斑の治療においては、保湿剤の使用も中止を指示することもあるそうです。
 その理由は、優れた保湿剤を使うと、皮膚がしっとりとし、皮膚のバリア機能が破壊されていることに気付かないからだそうです。それを気付かせるために時に保湿剤の使用もやめさせるそうです。それでなるべく擦らない、なるべく何もつけないように指導されるそうです。そうすると、多くの患者様は14日ほどで皮膚のバリア機能は再生し、乾燥を訴えなくなるそうです。
 その上でトラネキサム酸(トランサミン)を内服することで非常に高い効果を得られると述べておられます。 
 やはり保湿が必要な患者様は一定の数いらっしゃいますので、それも禁止するのはなかなか勇気がいりますが、もし肝斑をお持ちの方で、顔にのみ乾燥が強くて、毎日化粧をしている方がおられましたら、なるべく化粧品の数を減らし、ごく優しく洗顔をし(けしてごしごし洗ってはいけません)、なるべ顔をこする回数を減らすように工夫することをお勧めしたいと思います。肝斑がなくとも、なんとなく顔がひりひりする、いっぱい化粧品を持っているが、どれも徐々に合わなくなってきた、一日でも保湿を忘れると、顔が突っ張って仕方ないなどの症状の方がおられましたら、化粧品の塗布の際の摩擦、化粧品自体の刺激、洗顔のし過ぎにより皮膚のバリア機能が低下しているのかもしれません。
 
誤解の無いように一つ補足しておきますが、保湿が絶対的に必要な方もいらっしゃいますので(フィラグリン異常の方など)、必ずしも全員保湿をやめる必要はありません。
 皮膚をできるだけ擦らないように、触る回数をなるべく減らすように工夫することが大事ということです。

シミについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

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