巻き爪と陥入爪が合併している場合、少し治療が難渋することがあるとコメントしました。
巻き爪のため陥入爪(爪周囲の組織の損傷)が起こっているのですが、陥入爪のため、爪周囲の組織がむくみ、さらに巻き爪が周囲に食い込んでしまい痛みが増してしまいます。
巻き爪の手術をすれば一番早く治療できます(フェノール法など)。とく高度な巻き爪のある方、数年にわたって巻き爪と陥入爪でお悩みの方であれば、早期に手術をお勧めする場合もあります。手術に抵抗のある方もおられますので、その場合はテーピングや外用療法、抗生剤の内服、爪の切り方のご指導などを組み合わせて治療を行うことも可能です。手術と比べると時間はかかりますが、それでも比較的良好な治療成績をあげていますので、必ず手術をしなければならないというわけではありません。
敏感肌について(俗説も含め)少し考察したいと思います。
まずは敏感肌について定義をしなければなりませんが、現時点では自己申告によるところが多く、完璧な定義は存在しないようです。
本項目では敏感肌を「何らかの理由により慢性的に皮膚のバリア機能が低下し外的な刺激に対する抵抗力が落ちた状態」と定義したいと思います。
女性を中心に敏感肌の方が増えているようですが、その増えている原因として俗説も含め
1.洗顔のし過ぎ
2.化粧品により皮膚を過保護にしすぎた結果
3.化粧品の成分が非常に多岐にわたるためどうしてもかぶれてしまう方がいる
4.そもそも化粧品が角質のバリア機能を低下させる
5.食生活の変化
6.ストレスの増大
7.環境汚染の結果
8.大気が乾燥しているため
などがあげられているようですが、非常に複雑で一概にどれが原因とは言えないようです。(上記で挙げた原因は、一般的に言われているもので、私の意見ではありません)。
1.洗顔のし過ぎ
洗顔のし過ぎにより敏感肌になっている方は実際におられます。一日に何度も石鹸やクレンジング剤で洗顔していると皮脂膜まで洗い流してしまい、結果、皮膚のバリア機能を低下させることも起こりえると考えています。
2.化粧品により皮膚を過保護にしすぎた結果
確かに、常に日焼け止めクリームをつけている方が急に比較的強い紫外線を浴びれば皮膚炎をおこしうると思います。また常に保湿クリームをつけている方が急にやめると乾燥してひりひりしてしまうこともあるでしょう。ただ、それを過保護にしすぎた結果である(つまり化粧品が悪者である)と言えるのかは微妙なところだと思います。
3.化粧品の成分が非常に多岐にわたるためどうしてもかぶれてしまう方がいる
これは事実と思われます。どんな成分でもかぶれてしまう方がおられます。かぶれの治療薬にかぶれる方もおられるくらいです。ただ、かぶれてしまえば、その化粧品もしくは薬剤をやめるのが普通なので、慢性的なバリア機能の低下を招くかどうかは疑問を感じます。
4.そもそも化粧品が角質のバリア機能を低下させる
化粧品中に含まれる界面活性剤が皮膚のバリア機能を低下させるとする説があります。昔の化粧品では有り得たでしょうが、現代の化粧品ではどうでしょうか?現代の化粧品は肌に刺激の極めて少ない界面活性剤が使われています。もしこの説が正しいとすると化粧品は使わないほうがいいということになり、少し極端な説に感じます。
5.食生活の変化
食物アレルギーを起こしやすい食品を多く摂取するようになったから、ということでしょうか?
食物アレルギーが皮膚のバリア機能の低下を招くことはありますが、主に乳幼児期の場合ですので大人の場合はどうでしょうか?少し疑問に感じます。
6.ストレスの増大
ストレスの増大で敏感肌になることはありうると思います。ストレスに伴い体内でグルココルチコステロイドの分泌が増し、皮膚の抵抗力が落ちてしまう可能性があります。またストレスに伴い皮膚を擦る、掻くといった行動が増してしまう方も多くおられますが、擦る、掻くという行為は皮膚のバリア機能を低下させてしまいます。
7.大気汚染の結果
具体的にどの物質が原因なのか分からなければ説得力に欠けます。確かに、アレルギーの原因となるスギ花粉などの飛沫量は以前よりも増えています。
他にもアレルギーの原因となる大気中の物質が増えているのかもしれません。
8.大気が乾燥しているため
ありうると思います。都会の大気は江戸時代と比較して乾燥してることがわかっています。乾燥肌は敏感肌に直結しますので、この説は説得力があるように感じます。
以上少し雑多ですが、敏感肌について考察してみました。
本日は炎症後色素沈着について書きたいと思います。
炎症後色素沈着ついて詳しく知りたい方は
をご参照ください。
多くの方は、やけどや擦り傷、虫刺されの後に皮膚が褐色になる現象を体験したことがあると思います。それが炎症後色素沈着です。
当然、湿疹の後に炎症後色素が生じえます。
湿疹を放置し、重症化すればするほど、炎症後色素沈着は強く出る可能性が強まります。
そのため、湿疹はある程度症状が強くなればステロイドの外用薬で治療する必要があるのですが、ステロイド外用薬で炎症後色素沈着が生じると思ってらっしる方が多くおられます。
これは現在では誤りであることが分かっていますので、ご注意いただければと存じます。むしろステロイドは色素産生を抑制する方向に働きます。
湿疹が治った後に、炎症後色素沈着が目立つために、「ステロイドのせいで色素沈着になってしまった」と思ってしまうのも非常に理解できるのですが、擦り傷などでステロイドを使わなくても炎症後色素沈着をきたしてしまうことを考えれば、ステロイドが原因ではないことがイメージしやすいかと思います。
なにとぞよろしくお願いします。
シミについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
男性型脱毛(AGA)について少し述べたいと思います。
AGAについて詳しく知りたい方は、https://mitakahifu.com/aga/をご参照ください。
AGAについては皮膚科学会よりガイドラインが公開されていますので、参考になるかと思います。
http://www.fml.ne.jp/pdf/news_100816_01.pdf
このガイドラインはかなり妥当性があると思われますので、ガイドラインに沿って見ていきたいと思います。
3ページ目を見ますと、科学的な見地からどの治療法を推奨するべきかが書かれています。
A(強く推奨する)~D(無効、あるいは有害)まで分かれています。
男性の場合、Aに挙げられているのが、ミノキシジル(商品名リアップ)、フィナステリド(商品名プロペシア)内服です。
ミノキシジルは薬局で買えますが、プロペシアは病院で処方いたします。いずれもそれなりに高価なのが難点で、ガイドラインはコストパフォーマンスについてまでは言及していないので、どの治療を選ぶかは難しいと思います。ただ、推奨度Aなのは上記2つで、Bが植毛(これは非常に高価で手間もかかります)、あとはC1(推奨してもいいが十分な根拠なし)になってしまうので、コストパフォーマンスの面から検討しても、上記2つの中から選ぶのが妥当のように考えます。
「なぜ乾癬になってしまったのか?」とよく聞かれることがありますが、残念ながら現時点でははっきりしたことが分かっていません。
遺伝要因が関与していることは明らかですが、多因子疾患で、ある特定の単独遺伝子による影響は弱く、組み合わせによって発症しているようです。
ただ、一卵性双生児の方でも、発症一致度は70%強に過ぎず、環境要因も影響を与えていることが分かっています。
溶連菌やウイルスの感染後に乾癬(特に滴状乾癬)発症することもあり、溶連菌やウイルスの感染は、重要な環境要因の一つと考えられております。
飲酒、喫煙、肥満なども環境要因としての可能性が考えられていますが、こういった説を見たときは、「原因ではなく結果かもしれない」と少し疑う必要があります。(もちろんそれらは心疾患などその他の疾患のリスクになりますので避けたほういいと考えています)。
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