尋常性乾癬は近年、高い注目を集めている疾患で、日本でも43万人の患者様がおられると推定されています。
尋常性乾癬の患者様の内服薬というとネオーラル以来、25年間、新しい薬がなかったのですが、2017年3月1日に新薬のオテズラが発売となり当院でも徐々に経験が蓄積されてきましたので、報告させていただきたいと思います。
以下概要です。
効能・効果は「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬」。乾癬患者の免疫細胞や表皮組織ではPDE4の発現が亢進しており、細胞内のサイクリックAMP(cAMP)が減少していることが知られている。同剤はPDE4を阻害することによりcAMPを上昇させ、炎症性及び抗炎症性メディエーターのネットワークを調節することで、症状を改善すると考えられている。
従来の乾癬治療の内服薬であるネオーラルやメトトレキサートと比べてハードルが低く、使いやすい面があります。
副作用は下痢や悪心などの消化器症状が12-13パーセントと高めで、頭痛も5.5パーセントと低くはありません。そのためスターターキットを使って少しずつ容量を増やしていく必要があります。下痢や悪心などの症状は一ヶ月くらいで改善してくることが多いです。
メリットとしては、オテズラは免疫力の低下が少なく感染症や癌の既往がある方に使いやすいと点があります。さらに腎障害や血圧に対する影響もそれほどありません。従来のネオーラルやメトトレキサートと比べるとはるかに副作用は少ないと考えていいと思います。
上記まとめると、軽微な副作用は多いが、重篤な副作用は少ないのが特徴と言っていいかも知れません。
効果の方は、バイオ製剤と比べると落ちるものの、皮疹の改善、関節病変、爪病変の改善、何に対しても高い効果が認めれられます。
ステロイドなどの使用量は激減することができるでしょう。現在、当院で使用された患者様の満足度はかなり高いです。
薬価はやや高く、三割負担の方で月17500円程度です。点滴、注射のバイオ製剤と比べるとかなり負担は軽いといえます。
今後大いに期待できる新薬と言えるでしょう。
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