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いちご状血管腫(乳児血管腫)の新しい治療、ヘマンジオルシロップ

いちご状血管腫、現在では乳児血管腫と呼ばれる疾患で、生後1−4週頃に現れ、1年くらいかけて急速に増大していきます。
その後、数年かけて自然消退することが多く、小さいものや服に隠れる部位のものは放置しても問題ありません。

ただ、顔、特に口の周りや目の周りであれば、ミルクを飲めない、視野が低下する、眼球を圧迫するなどといった問題が生じることとなります。
これまでいちご状血管腫は、レーザー治療、ステロイド内服、ステロイド注射などが行われていました。

また血管腫が消退した後も、瘢痕を残すことがあり、顔の場合は問題になりますので、早めの治療が望ましいという意見もあります。

その厄介ないちご状血管腫に対して新たにヘマンジオルシロップという薬が保険適応となっています。
ヘマンジオルシロップとはプロプラノロール塩酸塩(βブロッカー)が主成分の薬で、もともとは血圧を下げるために作られた薬です。

小さなお子様に使用したところたまたまあったいちご状血管腫(乳児血管腫)が消えたことから、いちご状血管腫に対する治験が開始され、日本では2016年9月に発売となりました。

効果、安全性は極めて高く、効果も24週で63%程度有効とされています。
薬を飲むだけで高い効果が得られるため、今後いちご状血管腫の治療を塗り替えると予想される薬です。

副作用の方もかなり軽微ですが、添付文書によると
(1)重大な副作用 1) 低血圧(0.9%)、徐脈(0.5%)、房室ブロック(0.2%):
低血圧、徐脈、房室ブロックがあらわれることがある ので、異常が認められた場合には、中止するなど適切 な処置を行うこと。
2) 低血糖(0.5%):低血糖があらわれることがあるので、 異常が認められた場合には、中止するなど適切な処置 を行うこと。
3) 気管支痙攣(0.2%):気管支痙攣、気管支反応性亢進 (喘鳴、咳嗽や発熱を伴う気管支炎及び細気管支炎等 の気道感染症の悪化)があらわれることがあるので、 異常が認められた場合には、中止するなど適切な処置
を行うこと。 4) 高カリウム血症(頻度不明注)):本剤により乳児血管腫
の細胞が崩壊し、高カリウム血症があらわれることが あるので、異常が認められた場合には、中止するなど 適切な処置を行うこと。
5) 無顆粒球症(頻度不明注)):無顆粒球症があらわれるこ とがあるので、異常が認められた場合には、中止する など適切な処置を行うこと。

など頻度は低いのですが、重篤な副作用が報告されています。

なお、喘息、心疾患のある患者様は使えないか、もしくは極めて慎重に投与する必要があります。

いずれにしろ小児科医と皮膚科医が緊密に連携して治療に当たる必要があります。慎重に治療すれば、高い安全性と効果を期待できます。

今後、いちご状血管腫(乳児血管腫)の治療の第一選択肢になることはまちがいないでしょう。

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尋常性乾癬、関節症性乾癬に対してオテズラが発売になりました!

尋常性乾癬は近年、高い注目を集めている疾患で、日本でも43万人の患者様がおられると推定されています。

尋常性乾癬の患者様の内服薬というとネオーラル以来、25年間、新しい薬がなかったのですが、2017年3月1日に新薬のオテズラが発売となり当院でも徐々に経験が蓄積されてきましたので、報告させていただきたいと思います。

以下概要です。

効能・効果は「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬」。乾癬患者の免疫細胞や表皮組織ではPDE4の発現が亢進しており、細胞内のサイクリックAMP(cAMP)が減少していることが知られている。同剤はPDE4を阻害することによりcAMPを上昇させ、炎症性及び抗炎症性メディエーターのネットワークを調節することで、症状を改善すると考えられている。

従来の乾癬治療の内服薬であるネオーラルやメトトレキサートと比べてハードルが低く、使いやすい面があります。

副作用は下痢や悪心などの消化器症状が12-13パーセントと高めで、頭痛も5.5パーセントと低くはありません。そのためスターターキットを使って少しずつ容量を増やしていく必要があります。下痢や悪心などの症状は一ヶ月くらいで改善してくることが多いです。

メリットとしては、オテズラは免疫力の低下が少なく感染症や癌の既往がある方に使いやすいと点があります。さらに腎障害や血圧に対する影響もそれほどありません。従来のネオーラルやメトトレキサートと比べるとはるかに副作用は少ないと考えていいと思います。

上記まとめると、軽微な副作用は多いが、重篤な副作用は少ないのが特徴と言っていいかも知れません。

効果の方は、バイオ製剤と比べると落ちるものの、皮疹の改善、関節病変、爪病変の改善、何に対しても高い効果が認めれられます。

ステロイドなどの使用量は激減することができるでしょう。現在、当院で使用された患者様の満足度はかなり高いです。

薬価はやや高く、三割負担の方で月17500円程度です。点滴、注射のバイオ製剤と比べるとかなり負担は軽いといえます。

今後大いに期待できる新薬と言えるでしょう。

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その人が本来持つ、美しさを輝かせる

拙著『だから差がつく! やっぱり美人は、かかりつけの美容皮膚科を持っていた』より引用です。

『私たち日本人は、わかりやすく飾り立てたり、必要以上に華美だったりするよりも、さりげなく、ちょっと見ただけではわからない、奥が深い美しさを尊重してきました。
また、完璧に整えられているより、少しマイナスをしたものを、想像力を用いて、完全なものに劣らない芸術に仕上げることを、尊いと感じる文化があります。
そうした伝統があるからでしょうか。
肌が衰えたら若返らせよう!
欠点を直して、美しい顔立ちにしよう!
という、美容皮膚科のコンセプトに抵抗を感じる人も少なくないようです。
しかし、実は、美容皮膚科は、
さりげない美しさを引き出す
その人がほんらい持つ、美しさを輝かせる
という、私たちが大いに共感できる考えを、実践できる場でもあるのです。
たとえば、肌にしみができたとしましょう。
その場合、隠そうとしてメイクが濃くなるのと、しっかり治療をしてナチュラルメイクでいるのとでは、どちらが日本的な美意識に沿っているのでしょう。』

やはりメイクもそうですし、美容皮膚科もナチュラルで、さりげないのがいいですね。江戸時代の化粧のマニュアル(!)を見ても薄化粧を推奨する記載があったります。

近年、ヒアルロン酸とかしわ取り注射による過剰治療が目立ちますが、日本だけでなく、世界的に見ても相手にあまりいい印象を持たれない可能性が高いので注意が必要です。

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エビデンスとは?

エビデンス、という言葉が医療関係者の間ではよく使われています。Wikiで調べると証拠・根拠、証言、形跡という意味と書かれています。

我々、医者にとっては、エビデンスというのは、極めて重要な意味を持ちます。
ある治療が効果があるのかないのか?、そしてそれを裏付ける根拠(=エビデンス)があるのかないのか?そしてその根拠(=エビデンス)のレベルは何なのか?ということになります。

エビデンスにもレベルがあり、最もレベルが高いものは、ダブルブラインド試験(二重盲検試験)といって、医師、患者さま、ともに自分が何の治療をしているのかわからない状態で、比較試験を行う、という試験を痛快したものです。その試験で、効果あり、とという判定がなされ、さらに追実験を行っても同様の結果が得られているものが、最もエビデンスレベルが最も高く、「患者さまに積極的に推奨すべし」という話になります。

逆に、5名の患者さまで〇〇の治療を行い、皆さんにすごい効果がありました!という論文を見ると、「すごい!」となりがちですが、そんなことはなくエビデンスレベルは極めて低く、効果があるという裏付けにはなりません。これらを症例報告レベルと呼んだりすることもあります。

マウスで素晴らしい効果がありました!とか、人の皮膚細胞で効果がありました!という論文に関しては、それ以下で、安全性、効果ともに、全く未知数、ということになります。

すなわち、エビデンスあり、と聞くと、凄そう、信頼できそう、と思ってしまうのですが、実はエビデンスにもレベルがあり、その治療のエビデンスのレベルが低く、効果があるという学術的な裏付けが全くないものも結構ありますので、注意が必要です。すごく有名な治療でも症例報告レベルのことはよくあります。特に美容医療の業界では、そのようなことが多々ありますね。

FDAや厚労省認定のものは大概、エビデンスレベルが高いです。

当院、および当研究会では、エビデンスレベルが高いもののみを扱うように意識し、変革してまいります。

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久我山院4月手術実績

久我山院の2017年4月の手術実績を報告させて頂きます。

・粉瘤:32件

・ホクロ:8件

・脂肪腫:2件

・陥入爪:2件

・ケロイド:1件

・皮膚繊維種:4件

・血管腫:2件

・その他:1件

・イボ:2件

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