HOME > ブログ > 診療 > 手足口病による爪への影響
pagetop

手足口病による爪への影響

 手足口病に伴い、爪が脱落したり、爪に横の白い線が出来たりすることが報告されています。(Journal of Pedeatric Dermatology Vol30 No.3手足口病に伴う爪甲脱落症 渡部裕子先生ら)
 爪が脱落するといっても、完全に脱落することは少なく、比較的時間をかけて一部、爪甲と爪床がはがれてしまうことが多いので、それほど痛みないように思われますが、初めて見ると驚いてしまうかもしれません。
 手足口病の発症後、1~2か月後に爪甲脱落症が発症します。ウイルスが直接、爪母を攻撃するからなのか、そのほかのメカニズムがあるのかははっきりしていません。今年の夏に手足口病が大流行したためか、お子さんの爪甲脱落症や爪の横線が増えてきている印象があります。
 特に治療をしなくても爪が生え変われば元に戻りますのであまり心配はいりませんが、もし心配ならご相談いただければと存じます。

理事長ブログ | 診療 | comments(0) | trackbaks(0)

ディフェリンの勉強会に行ってきました。

 本日はディフェリンの発売3周年を記念した勉強会に行ってきました。
 ディフェリンというのは、レチノイドの一種で、レチノイドの中だと唯一保険適応が認められている薬剤です。ニキビに治療には、抗生剤の外用、内服、ホルモン剤の内服、漢方薬の内服、ケミカルピーリング、光線療法など様々な治療法がありますが、ほとんどのニキビの患者様にはレチノイドを治療の軸とするべき、と欧米の教科書では明記されております。
 そのため、当院でもレチノイド(必然的に日本ではディフェリンになります)をよく処方しておりますが、今回以下の二点が問題視されておりました。
1、最初の二週間に、ヒリヒリ感、乾燥などが出現し、途中でやめてしまう患者様がいる。
2、明らかに効果が実感できるまで、6週間くらいかかるため、途中でやめてしまう患者様がいる。
 当院では、最初にヒリヒリ感、乾燥が出現すること、その場合の対策を詳しくご説明しておりますので、あまり1は問題にならないかと思いますが、2に関しては少し注意が必要と感じました。
 通常は、レチノイドと抗生剤を組み合わせて治療を行いますので、レチノイドが効いてくるまでの間は抗生剤の効果で凌ぐ、という方法が一般的ですが、それでも明らかな改善が見られるまでは、4~6週程度の時間が必要な場合もあるため、そのことは最初にはっきり申し上げていたほうが誠実な対応といえると考えました。
 あともう一点、私が考える問題点ですが、欧米の教科書にはあるレチノイドで効果が不十分な場合は、他のレチノイド、もしくはより濃いレチノイドを使うようにと推奨されています。日本では保険適応で使えるレチノイドが一つしかありません。(めったにないことですが)それで効かなければ手詰まりとなってしまいます。ぜひ、より濃いレチノイド、もしくは他のレチノイドの保険適応が早めに通ることを期待したいと思います。

ニキビについてもっと知りたい方はこちらをご参照ください。

理事長ブログ | にきび | comments(0) | trackbaks(0)

乾燥肌とそれに伴う痒みの予防

せっかくテレビに取り上げられたので、少しブログにコメントしたらどうか、というご意見をいただきましたので、せっかくなので予防のポイントを簡単にまとめておきたいと思います。
水仕事をするときは、手袋をしてください。(ゴムによってかぶれる方は、ゴムの手袋を避けるようにしてください)
肌に直接触れるものは、柔らかいコットンのものを選ぶようにしてください。
衣類の洗剤のすすぎ残しに注意してください。
お風呂の温度は43度以下にしてください。
硫黄を含む入浴剤は避けたほうがいいかもしれません。
お風呂では肌をタオルでごしごしこすらないようにしてください。(石鹸を泡立てて、やさしく手で洗うだけで十分です)。
ボディソープのすすぎ残しにご注意ください。

ご高齢の方であれば、石鹸で皮膚を洗うのは二日に一回くらいでもいいかもしれません。
入浴後は、すぐに保湿剤を付けるようにしてください。
保湿剤は擦り込む必要はありません。やさしく肌の上に載せるだけで十分です。
部屋は乾燥しすぎないようにしてください。(湿度は最低でも40%以上、乾燥肌の方は60%~65%程度を目標としてください)。
皮膚がかゆくなった場合はなるべく掻かずに、保湿剤を付けてしばらく待ちましょう。少し冷やすのも手だと思います。
湿疹に至った場合はすぐに皮膚科に行くようにしましょう。
適度に運動し、皮脂腺を鍛えましょう。半身浴なども有効です。
過度のストレス、過労は避けるようにしてください。

理事長ブログ | かゆみ | comments(0) | trackbaks(0)

原因不明の皮膚疾患とウイルス感染症の関係

 原因不明の皮膚疾患の発症とウイルス感染症は密接な関係があるようです。
 今週の火曜日に塩原教授の講演会を拝聴し、面白い考え方を聞けたので紹介したいと思います。(もし当ブログに誤りがあったとすれば、すべて花房に責任があります。)
 今回の講演会はDIHSと蕁麻疹の話でした。DIHSというのは重症薬疹の一種で、HHV-6というウイルスの再活性化との関係が指摘されています。臨床像も初期は麻疹と非常によく似ており、ウイルス感染症との関連が常に話題になる疾患です。(中には、DIHSの経過中に免疫が低下するためにHHV-6が再活性化しているに過ぎないと考える医師もいます。)
 蕁麻疹は、7,8割は原因不明で、「ストレス、過労などが原因でないでしょうか?」と原因についてはあいまいに片づけられていることが多いと思いますが、教授によれば、何らかのウイルス感染症が発症の契機になっていることがかなり多いだろうとのことでした。
 その際、EBウイルスやCMVなどが発症の契機になっている場合は、蕁麻疹の経過中に肝障害がみられるとの話がありました。
 私は成人Still病とウイルス感染症の関係について質問しました。成人Still病というのは

  1. 発熱(39℃以上、1週間以上持続)
  2. 関節痛(2週間以上持続)
  3. 定型的皮疹
  4. 白血球増加(10000/μl以上、好中球80%以上)

 を大基準とし、フェリチン高値、肝機能障害などを特徴とする疾患です。成人Still病は感染症を除外しなければ、そう診断することはできない疾患なのですが、教授によれば、やはりウイルス感染症が発症に関係している可能性がかなり高いとのことでした。
 ではなぜ蕁麻疹や成人Still病ではウイルス感染症との関係をはっきりと示せていないかというと、それはウイルス感染症を血液検査でとらえ、証明することはかなり難しく、保険治療の範囲でその血液検査を行うことは不可能であることが関係しています。つまり再活性化したウイルスを、再活性化しているときに採血しなければならず、それがいつなのかわからなければ、何度も採血をしなければなりませんが、それは保険治療では認められていないのです。
 その他、ウイルス感染症が発症の契機になっている可能性のある疾患としては、今、ぱっと思いつくだけでも、多形紅斑、尋常性乾癬、アナフィラクトイド紫斑、膠原病の一部、扁平苔癬、ジベルばら色粃糠疹、など多数あげられます。
 さらにウイルスと免疫に関する研究が進めば、これらの疾患の発症機序がよりはっきりとわかるようになると思われます。そしていつの日か治療にいかせるようになることを期待したいと思います。

理事長ブログ | 診療 | comments(0) | trackbaks(0)
病気から選ぶ
  • おおしま皮膚科
  • 小島内科クリニック

※掲載内容・料金は更新時点での情報の場合がございます。最新の内容、料金は各院へお問合せください。